「マジック:ザ・ギャザリング」×「天野喜孝」特別インタビュー到着、リリアナとの出会いを語る
日本時間の4月25日、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社より、マジック:ザ・ギャザリング『灯争大戦』日本語版限定アート企画の一環として天野喜孝氏への特別インタビューが公開されました。
以下、ウィザーズ社より到着したインタビュー文を掲載させていただきます。
はじまりは、マジック:ザ・ギャザリング「リリアナ」と天野喜孝との、偶然の出会い。
Q. 天野さんが描く「リリアナ」はどのように創られていったのでしょうか?イメージが固まるきっかけは?
去年の秋に京都で、セドリック・ビスカイさんが主宰されている、漫画・アニメ・ゲー ムに関する国際会議がありまして。世界で活躍するアーティストやクリエーター達が集結する、モナコ発のイベントなのですが、僕もアメリカのコミックライターであるフランク・ミラーさんとの対談などがあり、参加していたんですね。そのイベントの中で、欧州・北米南米のトップコスプレイヤーによるショーが行われていて、僕も面白いと思ったパフォーマンスを携帯のカメラで撮っていたんです。
その時はただ、 “世界には色んなキャラクターがいるものだなあ” と思いながら見ていたのですが、その中でも一番凄いと目に留まり、印象に残っていたパフォーマーがなんと!まさにこのリリアナのコスプレをして踊る海外のパフォーマーさんだったんです。ショーを見ている時には気付かなったのですが、さて今回の仕事に取り掛かろうとした際に資料を見たら「あれ!?」って、「見たことある!」って。あの時の京都での出会いは、かなり印象的なものでした。
太秦の劇場だったのですが、ライトアップされたステージに、音楽と共に踊りながら登場してきたんですよ。キャラクターだけでなく、雰囲気も含めてその光景が、強く頭の中にインプットされました。その時、その海外のパフォーマーの方が骸骨か何かを持っていたんです。色っぽい怪しい踊りをしながら。パフォーマンスは、だいたい 5分程だったかな、ドクロを撫でる感じとか、妖艶で魅惑的な雰囲気が頭に残っていて。だから僕が描いた絵にも、ここに骸骨があるでしょ?
天野喜孝が描くマジック:ザ・ギャザリングとは? まっすぐ、純粋に。
Q. 「リリアナ」を描くうえで、苦労された点、悩んだ点があれば教えてください
今まではあまり、ほかの誰かが既に描いたキャラクターを、また僕も描くという経験は少ないんですよね。リリアナは既に、ほかの誰かによって描かれていて、それなりのプレッシャーもありました。その中で自分がどんな風に表現しようかと思っていたところに “生の人” コスプレイヤーの方との出会いが偶然あったので、それは大きかったと思います。
やはり誰が描いたとしてもキャラクターは存在しているわけですから、僕が描く事によって生まれる「違い」って、どうなんだろう?って考えます。マジック:ザ・ギャザリングのイラストは、みんなそれぞれのイラストレーターが描いた絵が、本当に素晴らしいので、僕はどういう風にしたらいいのかなって。あまりオリジナルに寄せてもあれだし、かといって、寄せないと、このキャラクターにはならないしね。うまく言えないですけれど、目的が同じで、それぞれそこに辿り着こうとしているわけですから。行き着くところは同じキャラクターなので。
《死の円舞曲》Illustrated by Willian Murai
マジック:ザ・ギャザリングのイラストは、何かこう、みんながまっすぐ純粋に描いているから、僕もそういう風に描きたいなという感じで描きました。あまり、自分らしさみたいなものは、変に出さないほうがいい、それでも真面目にそのまま、素直にやるのが一番いいのかなって。
天野喜孝がみた、リリアナ・ヴェスの魅力
Q. 天野さんが感じた「リリアナ」の魅力、また今回描くうえで、大切にされたポイントを教えてください
リリアナは、なんと言うかバランスが良くてドンピシャというか、王道のど真ん中という感じのキャラクターですよね?そういう気がするんです。リリアナは、どこの世界に行っても、通用するんじゃないか、どの世界に行っても、ちゃんと存在するんじゃないのか、そういう感じを持っていて、普遍的な気がしましたね。
あとは、昔の50年代から60年代のハリウッド女優の雰囲気があるようにも感じました、威厳を感じるんですよね。このリリアナの存在自体が “偉そうな” というか、何か君臨している感じの魅力も描けたらいいなって思いました。50~60年代のアメリカの大女優は、僕自身も好きなんです。この前ロスに行った時にもその時代の写真集や画集を買ったり、去年の秋にオレゴンに行った時にも、よく本屋に行ったりしました。モノクロ映画が持つゴージャス感みたいな、そんな雰囲気も好きなので、最近の映画じゃなく昔のね。リリアナも、名だたる大女優たちと同じ、品の良い雰囲気を感じる存在なのかなって思います。
《死の権威、リリアナ》Illustrated by Chris Rallis
だからこそ、という事でもないのですが、今回リリアナの肌が出てる部分はきちんと描いていこうと思いました。リリアナは、そんなに肌が出ていないじゃないですか。顔と胸と、そこしか肌が出ていないから、その部分をどんな風に表現するか。タトゥーも描く人によっては色々変わる。果たしていっぱい入れていいものか、どうなんだろう?という思いはありました。顔から描き始めたのですが、顔にもタトゥーを入れようかと思ったけれど、あまり入れすぎてもね。いかに、肌が出てるところを魅力的にするか、魅惑的になればいいなと思って描きました。
天野喜孝が感じた、マジック:ザ・ギャザリングが持つ王道の存在感
Q. 「日本オリジナルアート企画」へ参加して頂いた理由や、マジック:ザ・ギャザリングの印象をお聞かせください
この仕事を引き受ける上で、もちろんマジック:ザ・ギャザリングは知っていました。 世界で一番有名なアメリカのカードゲームというように。いま、世に存在するカードゲームの大元(おおもと)ですもんね。世界で2千万人以上の方に、世界中でプレイされているというのは凄いこと。僕も下手なことは出来ないなと思いました(笑)。例えばファイナルファンタジーでもカードゲームがあるじゃないですか、そういう形で、描いたイラストが結果的にカードになることはあるし、やったこともあるので、トレーディングカードゲームで、最も歴史があり、世界中で愛されているカードゲームなので、名誉なことだと思いました。
ファンタジーの世界って、いろんな世界があり、王道のど真ん中とその脇の世界があると思うんですけれど、マジック:ザ・ギャザリングは、本家本元なのかなって。カードゲームの発祥である原点。そういう意味で王道の印象は感じます。アメリカの人達もみんな普通に知ってますからね。
僕自身も、アメコミなどアメリカの作風には、影響を受けまくりです(笑)。僕の原点というか、もともとアメコミも大好きですし。マジック:ザ・ギャザリングは、どちらかというとアメコミもそうですが、イラストレーターの世界に近い。アメコミの印象としてはどうしても、線で描いて、フラットな感じがある。
Heavy Metal(2001) Richard Corben特集号
マジック:ザ・ギャザリングは、例えば雑誌のヘビーメタルで描かれていたような、あの頃のアメコミの印象に近い。よりイラストのほうに近いアメコミっていうのかな。僕自身もリチャード・コーベンとか、若い頃すごく好きで。彼は線というより、リアルな絵で、絵の具で描く人なんです。その辺の印象と同じ雰囲気をマジック:ザ・ギャザリングからは感じます。
天野喜孝から、マジックプレイヤーへ。
Q. 世界中で楽しみにしている、マジック:ザ・ギャザリングプレイヤーへメッセージをお願いします。
今回描いたリリアナからは “この世界を統べる” というか、 “君臨している” という存在感を感じます。たったひとりで舞台を何とかしてしまう主役の感じがしますよね。そういう力強さ、存在感を出せたらいいのかなと描きました。
このカードをプレイされるファンの方も、彼女はこの世界を牛耳っていますので、そういう感じで、誰にも負けないで欲しい。あとは、媚びないでほしい。堂々と。このリリアナという方は、なんでも許されちゃうから。わがままでいいんです。やさしさも持ち合わせながら、わがまま放題でいい。リリアナと共に、世界に君臨してください。
新製品情報
![]() ■発売日:2019年5月3日(金) |
やっぱ教養がすごいわ
すげー
素敵すぎる
その目に止まったコスプレの人も見てみたいね
すごいいいインタビュー。
たしかにリリアナにはイングリッド・バーグマンとか、ヴィヴィアン・リーみたいな存在感があるな。
自分が褒められたみたいな嬉しさある
ありがとう。
読ませて頂きました。
たぶんMTGのことはそこまで詳しくないんやろうけど、リリアナの解釈はめっちゃ的確で凄い!
やっぱ見る人が見れば分かるんかなあ
当然だけど色々考えてるもんなんだなぁ
見えない部分にも色々詰まってる感じ
天野先生の描くmtgのクリーチャーも見てみたいと思ってしまった。
神河出身のクリーチャーかそれともここはやはり我らが甲鱗様か・・・
これは欲しくなっちゃうね
正直このリリアナはそんなにすこれない
FF6のイラストの雰囲気とか大好きだっただけに残念
物事をとらえる目がすごいな…
ウィザーズからもちろん資料ももらってるんだろうけど、リリアナの持つ雰囲気を的確にとらえている
リリアナの特色をよく理解していらっしゃる
依頼された1仕事なのにここまで深堀りできる慧眼
海外でものっそい高値つきそうね
リリアナと共に世界に君臨してください
名言だなこれは、ただこのイラストはロリっぽくてコレジャナイ感が凄いけども
素敵な人だ
よくも悪くもキャラっぽく描いてるのかなとは思った
誰が見てもリリアナってわかるからな
FF7~10の野村デザインキャラの追い絵は言われないと分からないぐらい変えてるのも多いけど、これはリリアナって分かるし、どことなく頭身が低くて可愛く感じるルックス
いゃあ本当にこのイラストでヴェリアナじゃなくて良かったよ…。
一枚15kぐらいになりそうだし。
すばらしいインタビューだな
リリアナは個人的にジョス絡みのトラウマと黒カラーの関係を考えるのが面白いけど、君臨してる感って言われると分かる気がする・・・
めっちゃノリノリで描いた作品なのだと伺えるインタビュー
インスピレーションを受けたのはこの方っぽいですね
https://www.instagram.com/p/BqKpjM7jPsb/
確かに今回のストーリーの主役の一人だからな
腹に落ちるというかグッとくるインタビューやな。独特の雰囲気と視点が素敵だと思った。50-60sのハリウッド女優みたいなイメージってとこがおもしろい。彼はリリアナの背景ストーリーを知らないし知らされてないし知ろうともしてない。それがいい味になってる。
良いものを読ませていただきました
ありがとうございます
すげぇとしか言えない
つれぇわ…
mtgaから入った勢だけど紙のカード欲しくなるからやめてくれw
mtgaに実装されたら課金してでも手に入れる
多分アリーナにも来るだろうが、課金枠やろな
何枚かほしいのあるわ
最近のウィザーズは挑戦的だな色々と いい意味でも悪い意味でも こちらはいい意味だが
天野さんってチラッとしか知らなかったけどオドリックに似てる気がする
天野氏以外のpw書いてる絵師が誰一人わからないんだが有名な人なの?
有名な人も多いよ っつーかggr
個人でWikipedia載ってる人もいるんだからググりゃ出る
世界を統べるとか君臨しているってシーンなの?
カード時点じゃボーラスがまだいる訳で、世界を牛耳るとかそういうのはちょっと違くないかい?
※33
灯争大戦時のリリアナっていうより、あくまでキャラクターの抽象概念を自分の絵に落とし込む仕事だったってことじゃないかな
ぐぐるってかみんなの意見を聞いてみたかったんでしょう。よく名前上がる人とか作品とか。
今回参加した絵師は国産カードゲームのイラストを担当されている方が多いので掛け持ちしてる人はおっ!?ってなるんじゃない?
例えばドムリの風間雷太先生はMTGもコラボしたパズドラで人気キャラクターを何人も手がけてるし、カーンとラルの森下直親先生はガンプラの箱絵をやってるみたい。
天野さんってこんな顔だったのか初めて見た
気のいいおっちゃんやんけ
ちゃんとキャラの特徴を捉えて言語化できるうえにその内容が共感できる所がさすがプロだなぁ
他の絵師の話云々だと、テフェリーの獅子猿さんとドムリの風間さんはゲーセンの三国志大戦か戦国大戦をやってた人ならお馴染みだし、前者は過去に神河ブロックで参加してる
タカヤマさん、獅子猿さん、井塚さん、山宗さんあたりはデュエマやってると馴染み深いかも
NEX、ボルメテウス、ロマネスク、ボルバルザークの人達だし
アーリンの人はデュエマで見るね
今回ので正直惚れちゃったからこっちでも度々描いてほしい
31
開田さんは天野さんに次ぐ大御所
他はベテランって感じ
※5
ヴィヴィアン・リーが凄い納得できる
風と共に去りぬは役柄までリリアナっぽいし
はじめて見た・・・考えが違う。
MTGとか今までのリリアナのストーリーとか多分詳しくは知らないんだろうけど、イラストだけでここまで読み取れるってのは本当にすごいわ。
素晴らしい記事です
獅子猿氏はそもそもmtgで既に描いてたしね
理解度が高すぎる
流石だ
プレイマットにしてほしい
気取らない中で高い知性を感じさせる文面に感動した
もっとインテリぶった方かと思ってた
リリアナのカードとして、妖しい雰囲気とかがすごくマッチしていい感じだし、1枚のアート作品としての魅力もすごい。
やっぱり日本を代表するイラストレーターだわ。
インタビューの話し方も分かりやすいし。
本人は自称画家だから昔はイラストレーターと言ったら怒ってたよ今は知らないけど
他のイラストレーターだと、藤ちょこ氏(タミヨウの人)は小説の表紙や挿し絵描いたりしてる人だな。
wiki曰くソシャゲや国産TCGにもちょいちょい出てるらしい。
ピクシブ見れば分かるけど彩り豊かで凄い印象的な絵だからオススメだぞ。ちょっと古いが画集も出てるぞ!
※52
今で言うラノベみたいな小説の絵とか描きまくってたのにイラストレーター拒否は流石にちょっと。。。
もしかしてキマイラとかアモンサーガとか本人的には黒歴史なのか?
※52
なるほど、失礼しました。
いまは「絵師」って呼ばれるのを嫌う人もいるしね。
神河のドラゴンサイクルでも描いてた人いるよ。
デュエマや三國志辺りがメインの人は多い。
絵違いバージョンリリアナだけは欲しい
FFやったことないからか正直このイラストはあんまし……
なんだけど、でもこのインタビュー読んでかなり気持ちの入ったイラストだと分かった。自分にははまらなかったが、好きな人が多い理由が納得できるいい内容でした。
※55
画家→イラストレーター→絵師
呼ばれ方の変化というのが感じられて興味深いな。
たぶん絵描きツールの変化も影響あるんだろうけど
天野嘉孝が書いてくれるのはすっごい感動した
個人的にはさらに悪魔絵師がティボルト描いてくれたら発狂レベルなので
次があったら期待したい?
最近の天野絵って微妙だなって感じしてたけどこれは欲しいわ
素敵すぎるインタビューだった
この絵を見て誰だってリリアナだと解るものなぁ。
さらっとこなしてるけど、これってすごく難しいことなんだよなぁ・・・・・。
さすがだなぁ。
前に描いたセイバーよりは遥かに気合が入ってるな
このインタビューってイゼ速限定掲載ですか…?
まあカッケェわ
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探したら他のニュースサイトで見つけました。プレスリリースで各社に文章出してる感じなんですね
獅子猿さん神河で描いてたのマジか
知らなかった…すげえな
ついでに獅子猿さんが手掛けたイラストの主なMTGカード
垣間見る自然、鳩散らし、昇る星、珠眼、北の樹の木霊、浮き夢のずべら、隔離する活力など
当時現役ならピンとくるカード多いっすね…
※55
画伯って呼ばれる事を嫌う人も居るらしいね
アリーナでリリアナ引けたけど天野さんの方がテンション上がる気がする感じだった。
天野リリアナ予約とんでも無いことになってる
通常天野リリアナ6000円越えたら普通にパック買った方がお得な気がしてきたよ…
神話レアの更に半分の確率でしか出ないんだから、これでパック買った方がお得って感じるのはすごい強運なのでは…?