地上戦?無限コンボ?新機体?禁止改訂を経た『霊気紛争』参入後最初期のスタンダード環境とは
数多くのプレイヤーに驚愕を以って迎えられた、五年半振りのスタンダード禁止告知からはや一週間(と少し)が経過しました。
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禁止自体の是非はここではひとまず置いておくとして、《反射魔道士》《約束された終末、エムラクール》《密輸人の回転翼機》、これら三枚の禁止はまず間違いなく次のメタゲームに大きな変革をもたらすものになるはずです。更にそこに加わる『霊気紛争』のカードによる新戦略。まさに混沌然とした今だからこそ、新環境について改めて情報を整理しておく必要があるでしょう。
環境最初期:既存デッキについて
本記事では「新セット発売日からプロツアー開催前日まで」を環境最初期と定義します。初日のフライデーナイトマジックなどはそれこそ玉石混淆ですが、初回のSCGオープンが終わればその結果を元に所謂最初のメタが定まることになるはずです。製品がブロックの第二セットである場合には前環境から存在したアーキタイプに新カードが投入される形を取ることが多く(バントカンパニーへの《呪文捕らえ》、アタルカレッドへの《無謀な奇襲隊》など)、ひとまずはその考えに則って予想するのが無難でしょう。ですがあまりにも禁止カードへの依存度が強いアーキタイプ、例えばマッドネスや霊気池などはその個体数を大幅に減少させるものと思われます(逆を言えば全体としてマークが薄いと取ることも出来ますね)。
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さて、前環境のアーキタイプと言ってもそれが一つ前のものとは限らず、新セットとの兼ね合いによってはニ、三環境前のデッキが再度出現する可能性も十分に存在します。まずは現在、先立って禁止改訂の施行されたマジック・オンラインで優秀な成績を修めた白緑デッキをご覧ください。
5-0:白緑トークン プレイヤー:Graciasportanto | |
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4:《梢の眺望/Canopy Vista》 7:《森/Forest》 4:《要塞化した村/Fortified Village》 9:《平地/Plains》 1:《ウェストヴェイルの修道院/Westvale Abbey》 25 lands 4:《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》 |
4:《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》 4:《ゼンディカーの代弁者、ニッサ/Nissa, Voice of Zendikar》 2:《石の宣告/Declaration in Stone》 4:《ニッサの誓い/Oath of Nissa》 4:《停滞の罠/Stasis Snare》 18 other spells 3:《神聖な協力/Blessed Alliance》 |
見事なまでの『異界月』環境デッキっぷり。無論これは新セット参入前のリスト、しかし環境最初期ではこうした「復刻」も容易に起こり得るのです。『霊気紛争』が加わればここに《ピーマの改革派、リシュカー》や《スラムの巧技》などが枚数を調整した上で投入されることになるかもしれません。
次にご覧いただくのはまさに白青フラッシュの後継とも言うべきアーキタイプです。
5-0:白青スピリット プレイヤー:Creat1ve | |
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6:《島/Island》 10:《平地/Plains》 4:《港町/Port Town》 4:《大草原の川/Prairie Stream》 1:《ウェストヴェイルの修道院/Westvale Abbey》 25 lands 4:《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》 |
4:《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》 4:《天才の片鱗/Glimmer of Genius》 4:《停滞の罠/Stasis Snare》 12 other spells 3:《神聖な協力/Blessed Alliance》 |
白青フラッシュから抜けた低マナ域をスピリットクリーチャーで補完することによって本来の部族デッキへと立ち返ったリスト。盤面への干渉力は低下していますが依然として隙のない構成ですね。ただし『霊気紛争』で得るものはあまり多くはなく、新カードによる発展には疑問の余地が残ります。
他にもMO上で勝利しているアーキタイプとして、
・赤緑エネルギー(コンボ・アグロ)
・白黒伝説ミッドレンジ
・現出(青赤、4色など)
・黒緑昂揚
・青赤(緑)電招
・白青(赤)コントロール
の六つが挙げられ、『霊気紛争』発売直後はこれらに新カードを数枚加えたリストが多く持ち込まれることが予想されます。
環境最初期:新規デッキについて
旧環境リストの完成度はもちろん魅力的ですが最初期から新デッキが出てこないというわけではありません。特に日本ではカードショップ「遊々亭」によるプレ裏スタンダードと呼ばれる新環境デッキでの対戦会が行われおり、その際多くの『霊気紛争』カードにスポットが当てられています。
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中でも《巻きつき蛇》によるシナジーを中心とした行弘賢選手のスゥルタイアグロはインターネット上でも大きく話題を呼び、シングル予約価格における米市場との乖離をもたらすほどでした。《巻きつき蛇》のバックアップを受けた《歩行バリスタ》がタフネス1のクリーチャーを蹂躙する姿が今後は多く見られるかも。
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この他にも活躍したアーキタイプとして、
・《サヒーリ・ライ》+《守護フェリダー》による無限コンボデッキ
・《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》を使用した黒赤高速アグロデッキ
・《艱苦の伝令》の高速召喚ギミックを内蔵した黒系アーティファクトデッキ
これらの存在は環境最初期にデッキを組む上で頭に入れておきたいですね。
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今だ未知数なのが《密輸人の回転翼機》の代替として期待される《キランの真意号》採用デッキ。アグロで使用する場合には当然恒常的にパワー3以上を維持できる構成が求められるため主に《屑鉄場のたかり屋》を運用可能なアーキタイプへの投入が予想されますが、《密輸人の回転翼機》と違い《スレイベンの検査官》では乗れない、複数枚の展開ができない、かさばったカードを捨てられないと弱点も目立ち、投入枚数は2~3枚に抑えられることになりそうです。
逆に前述した白緑トークンのような8枚以上のプレインズウォーカーを投入するミッドレンジやコントロールであれば《キランの真意号》を攻防一体の戦力として運用するケースも見られるでしょう。防衛時における真意号のアクティベートは相手クリーチャーの攻撃の有無を確認してから行えば良いため、忠誠度を消費せずとも睨みを利かせることができ非常に有用です。
環境最初期:強化が予想される戦術
ここでは禁止改訂および『霊気紛争』の追加によって強化が予想される戦術について簡単に羅列していきたいと思います。なお、あくまで環境最初期の構想であり、プロツアー後のメタゲームについて考慮していない点にはご注意ください。
・軽量地上クリーチャーによる防衛
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《密輸人の回転翼機》の禁止によって2マナ以下の防御的な挙動を行う地上クリーチャーに再び活躍の場が訪れることが予想されます。ただし《致命的な一押し》という新たな障害についても認識していく必要がありますね。
・ミッドレンジクリーチャー
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これらのクリーチャーがより軽い《反射魔道士》によってバウンスされ、テンポを失うことはもうないのです。これからは戦場に出たときに能力を誘発させるかどうかだけでなくサイズや回避能力についても再考すべき時でしょう。
・プレインズウォーカー
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機体の採用率が下がればプレインズウォーカーの忠誠度能力も使いやすくなるというもの。特に《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》は活躍の期待されるカウンターシナジーを狙ったデッキで採用される可能性が高く、再び地上戦を定義するカードに成り得るかもしれません。ただ、プラス能力込みで忠誠カウンターが4に満たないプレインズウォーカーは《キランの真意号》の射程圏内であることをお忘れなく。
・ソーサリー呪文による除去
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これに関しては《キランの真意号》《霊気圏の収集艇》、この二枚が如何に環境を支配するかに懸かっています。最初期の環境ではある程度通用すると思われますが、それ以降に関しては現状未知数と言わざるを得ません。ただしプレインズウォーカー環境になるのであれば《破滅の道》に関しては安泰かと。
・その他
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個別で取り上げるのであれば《反射魔道士》による現出元のバウンスが無くなった今《老いたる深海鬼》が《コジレックの帰還》と共に再び猛威を振るう可能性も。《革命的拒絶》については《キランの真意号》や《霊気圏の収集艇》の採用率次第ではあるものの、環境最初期ではそれらを合わせても《密輸人の回転翼機》には遠く及ばないでしょう。《暴力の激励》は一撃必殺型赤緑エネルギー期待の星ですね。
可能性溢れる新環境へ
如何でしたでしょうか。他にも《霊気圏の収集艇》や《歩行バリスタ》の採用率など予測の難しい部分が多い『霊気紛争』発売直後のスタンダード。必ず以前よりも刺激的なトーナメントシーンが展開されると私は信じています。新環境の始めの始め、貴方なら一体どんなデッキを持ち込みますか?
関連リンク
スタンダードセットカードギャラリー:戦乱のゼンディカー/ゲートウォッチの誓い/イニストラードを覆う影/異界月/カラデシュ/霊気紛争
こうしてまとめて見るとスタン環境面白そうに見えてくるんだよなぁ…
やっぱヘリが消えたことによって選択肢が増えたのが大きい
搭乗2かパワーが1ならヘリは適正だった
緑黒のカウンターシナジーで遊ぶつもりでリシュカーやバリスタは最初期に予約してたけど、すでに周知されちゃったからやめにして霊気貯蔵機あたりで遊ぶつもり。鼓舞する彫像が0マナファクト並べる動きにかみ合ってるし、意外とやれそう。
環境自体は面白くなったよね
まあその他が不安なわけですが
とりあえず熱病の幻視ぶち込んだイゼットバーンを持ち込んでやるぜ!気持ち良くなりたいんだ(低能)
スタン民どんどん減ってきているから少しは増えてほしいね……
ティムールエネルギーにならず者の精製屋とバラルの巧技を入れてみたい。
前者はエネルギーデッキにとっては不屈の追跡者に勝るとも劣らない選択肢だし、後者は相手の戦場だけを綺麗に掃除しながら神チャンドラをキャストして気持ち良くなりたい。
まだ正式には発売前のはずなのに既に各所でメタが回転しててえぇ…(困惑)ってなるメタの解析が驚く程はやくなったってよく言われてるけど正にそんな感じだ
日本国内での行弘プロの緑黒アグロの影響力すごいですよねえ。
海外でも少しずつ歩行バリスタとリシュカーの強さが認知されてきているようですけど、一時期倍くらい国内と取引価格に差がついててびっくりしました。
※7
カードリスト自体はとっくに公開済みなわけだし、プロキシで回すことは難しくなくなったよね
最終的に必要なものを見極めてから現物を買えばいいっていう意味でも、発売前のこの期間は重要よ
密輸ヘリの正当下位互換の航空艇はダメなんか?
キラン号よりは変わりになるやろ(適当)
1マナゾウさんの括約の場はありそうですかね・・・?
青黒の即席デッキは上がってくるだろうか。テゼレットは台風の目になれるのか?
※1
まぁ面白くするためにスタンに禁止出したんだしそりゃあ
青黒コンを即席デッキに組み替えて遊ぼうかな。プレリでテゼが二枚揃ったし。
無限コンボが流行ったら歪める嘆きがサイドに2~3枚刺しレベルではやりそう
ギラプールの希望を打ち砕き守護フェリダーを始末しうま技を霧散せしめる
やはりエルドラージは多次元宇宙の脅威(確信)
俺の使おうと思ってる&メタの一角に上がると思ってるデッキのパーツが
1枚も取り上げられてなくてわろた・・・
サヒーリ対策8枚体制環境になるのかな?1マナ除去かハンデスで対策しようと思ってる。
とりあえずギデオン使うか潰すデッキにしないと日の目を見ることはない(確信)
ここ数ヶ月スタンを離れてた自分にとってはぐう良記事。
タソガレさんもっとこういう記事書いて下さいよ~(スリスリ)
そうですね…やっぱり僕は王道を征く…霊気貯蔵器、ですか(邪道)
サヒーリフェリダーは正直ヤバイんじゃないかと思うんだけど…
わりと簡単に達成しそうだし
「禁止出したら誰もスタンの高額カード買わない」と言われたが
ハートオブキランとサヒーリとかかなり高値になってますね
真意号とギデオンで
9点パンチが流行って真意号も禁止になったら流石に笑う
割と新環境楽しみ
ただしギデオンてめーはだめだ
こうやって米見るとギデカスに痛い目に遭ったの俺だけじゃ無かったんだと少し安心
あ~早く製造と即席連打してうじゃうじゃ並ぶデッキ組みたいんじゃ~
さて明日はギデオンと真意号入りのフェリダーコンボで無双するかー
こういう記事はじゃんじゃん書いてほしいね。久しぶりに目が覚めるような良記事を見た気がする。
正直スタンは迷走しすぎて辟易したのでモダンで十分。
最近は価格も一極集中の値上がり傾向だし、モダンやりつつスタンはアフター5プレーヤーにはキツイっす。
記事の通りこれからスタンが面白くなればよいのだがな
米20
50点砲良いですよね!
パンハモニコンと奇妙な幕間と紛争5点ゲインでワンチャン!
アフター5プレイヤーがスタンきついのは同意だなあ。まあ社会人が趣味としてのんびりやるなら下環境の方が(最終的に)安上がりだしね。カラデシュブロックは面白いカード多いからスタンやりたい気もするんだけどさ。
それにしても今回の記事は神ってる記事ですな
社会人になるとスタン変遷で一番アツい時期にショップ通えなかったりすることもあるし・・・
モダンかレガシーみたいな、旬って概念はあまり無いけどいつも一定数はプレイヤーがいるようなフォーマットの方が遊びやすかったりはするね
マッドネスって環境にいたの・・・
ってかマッドネスに血の間の僧侶って入るのか(無知)
どうにも強さがわからなくて俺のデッキからは抜けてったんだが
軽く禁止でるスタンとか、ソシャゲのガチャと一緒だしやんねーわ。
ただでさえスタン落ちしたらゴミみたいなカードが、さらに禁止でゴミになるとか。
モダンやレガシーは資産価値そうそう落ちないし、そんなに金かかんないから楽でいいわ。
※35禁止出たのは久しぶりだけどな。下の環境のが楽なのは同意だけど
※35
カードを資産価値としか見れないなら、他に金使った方がよっぽど有意義だぞ。
カードゲームに限らず、ゲームってのはそれで遊ぶ「時間」に金を払ってると思うんだがこれは一般的な考え方ではないんだろうか。そんな俺はリミテが大好き。1000円であんだけ遊べて場合によっては一部お金が返ってくる。素敵。
血の間の僧侶は3マナ4/4に条件付きでショック。
回ればめちゃつよ。
吸血鬼マッドネスは改定後のMOで良く当たる
>私はスタンダードで禁止を出すべき時のハードルが過去において高すぎたと考えています。
歴代で一番壊れてたジェイスと石鍛冶レベルでないと禁止カードにならないとかまあ普通に考えて変だよね
41はその2枚が何故禁止になったのかをご存知ないのではなかろうか…
環境が健全であれば禁止は出ないです