[スタンダード]『破滅の刻』環境の第2週目の様子と、プロツアーの気になる話題のまとめ
こんにちは、らっしゅです。今回は、第2週目を迎えた『破滅の刻』スタンダード環境についてお話します。
激動の第1週目は、マルドゥ機体がMOPTQを優勝、4色コントロールがSCGOを制し、青赤コントロール、赤単アグロ、白青モニュメントなど、様々なデッキたちが確かな存在感を示しました。あれから約1週間がたった今、はたしてスタンダード環境はどのような姿をしているのでしょうか?
今週末に迎えるプロツアー『破滅の刻』を直前に、気になる話題をまとめました。
1. プロツアー『破滅の刻』最大の仮想敵は赤単アグロ
SCGO アトランタ チーム構築 2位:赤単アグロ プレイヤー:Jim Davis | |
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15:《山/Mountain》 4:《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins》 4:《陽焼けした砂漠/Sunscorched Desert》 23 lands 4:《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher》 |
4:《ショック/Shock》 4:《焼夷流/Incendiary Flow》 1:《削剥/Abrade》 2:《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》 11 other spells 2:《削剥/Abrade》 |
第1週目からMOを中心に大流行していた赤単アグロは、「赤単でしょ?すぐに攻略されるよ」という予想に反して、第2週目を終えた今でもなお、その勢力を拡大し続けています。軽量除去を採用したコントロールも、地上を封殺する白青モニュメントも、結局は赤単アグロに対して明確な優位を築けなかったのです。
先週は赤単アグロが大きく前進した一週間でした。半端な《激情のカルトーシュ》や《激情の試練》は使われなくなり、同型戦も含めて、より速いゲーム展開を見据えた《ショック》や《損魂魔道士》が採用されるようになりました。また、同時にサイドプランの研究も進み、同型対策の《猛火の斉射》が発見され、消耗戦に備えてミッドレンジに変形する戦略が一般的になりました。

上に紹介したJim Davisのリストのように《アクームの火の鳥》や《栄光をもたらすもの》を採用するために土地を23枚以上用意したものが増えたのです。これはさながら前環境のマルドゥ機体(PWコントロールに変形するアレです)のような緩急と柔軟性を武器にしています。
しかし、一概に柔軟性をもたせることが正しいのかというと、そうとも言いきれないのが難しいところです。従来のように土地を20枚に切り詰めて《焼き尽くす熱情》を採用した前のめりなリストがMOPTQの3位に入賞しています。このような赤単アグロという素材の強みを生かし、軽く速くまとめたリストも未だに活躍しているのです。
どちらが優れているかという判断は、結局のところ「対戦相手がどこまで赤単アグロの速さに対抗してくるのか」という一点に尽きます。右も左も赤単アグロだった先週を見る限り、プロツアー『破滅の刻』に参加するプレイヤー全員にとっての仮想敵とされていることは間違いありません。今週にはいってからは緑白や緑黒の《謎の石の儀式》のように赤単アグロに照準を絞ったデッキも活躍しはじめています。この逆風の中、赤単アグロはどのように戦うべきなのでしょうか。逆風の風向きすら読み切る、プロたちの決断に注目です。
2. 今大会のダークホース!?白青ギフトが登場
1位:白青ギフト プレイヤー:Olivetti | |
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4:《イプヌの細流/Ipnu Rivulet》 2:《灌漑農地/Irrigated Farmland》 4:《島/Island》 5:《平地/Plains》 4:《港町/Port Town》 4:《大草原の川/Prairie Stream》 23 lands 4:《発明の天使/Angel of Invention》 |
4:《復元/Refurbish》 4:《巧みな軍略/Strategic Planning》 4:《来世への門/Gate to the Afterlife》 3:《王神の贈り物/God-Pharaoh’s Gift》 15 other spells 2:《没収の曲杖/Crook of Condemnation》 |
赤単アグロが跋扈する第2週でしたが、一番のトピックを挙げるとするならば、それは白青ギフトがMOPTQを優勝したことでしょう。白青ギフトは突如登場したデッキのように思えますが、その研究自体は環境初期から世界各地で行われていました。ただ、白青黒で《害悪の機械巨人》が入っていたり、《秘法の管理者》などサイクリングで墓地を肥やしたり様々で、いまいちどれが強い形なのかがわからないデッキタイプだったのです。
そして、第2週のMOPTQを優勝した@CarlosOlivettiのリストが完成形のひとつだ、と注目を浴びました。MOPTQでは8種のデッキタイプと戦い、緑赤《静電気式打撃体》以外のマッチアップを勝ち抜いたことで「これが最強のデッキなのでは?」と噂になったのです。しかし、墓地を使うコンボデッキであることから、現出と同様に、赤単アグロのような速いデッキを苦手にしていることが明らかになりました。
それからは、メインボードから《空中対応員》や《陽光鞭の勇者》を採用して赤単を牽制したリストや、不安定な《霊廟の放浪者》の代わりにサイクリングクリーチャーを入れたもの、《復元》の追加の対象として《害悪の機械巨人》を採用したものなど、様々な形がテストされている様子が見られました。
赤単アグロのようなシンプルなビートダウンと比較すると、コントロールやコンボなど、他のデッキタイプのリストが完成するには時間がかかります。良いサンプルができるまでに2週間以上かかり、そしてプロツアーまで残された時間は、わずかに1週間。プロたちは限られた時間の中で、よりよい形を見つけられるのでしょうか。
3. 8つのカードセットを使用するスタンダード環境
スタンダードが6つのカードセットで構成されていた頃は、1つのカードセットが与える影響はそれなりに大きく、環境初期のプロツアーとは、新しいカードセットをいかに上手く使うかが問われるトーナメントでした。しかし、スタンダードの枠組みが8つのカードセットに変更されてから、『霊気紛争』『アモンケット』が大人しめな内容だったこともありますが、1つの新しいカードセットが与える影響は当然ながら小さくなっているようです。
プロツアー『霊気紛争』ではマルドゥ機体、プロツアー『アモンケット』では霊気池(優勝したのは黒単ゾンビですが)。最近ではいずれも旧環境から強力なデッキとして太鼓判を押されていたデッキの活躍が目立つプロツアーが連続しています。そして、今回のプロツアー『破滅の刻』は、2016年秋のローテーション変更以後、初めて8つのカードセットによるスタンダード環境で開催されるプロツアーなのです。

昨今の傾向を鑑みるに、これが意味するのは、これまでと同じかそれ以上に既存の強力なデッキが勝つプロツアーになるということです。白青モニュメント、マルドゥ機体、青赤コントロール、ティムールミッドレンジ、黒緑エネルギー、ゾンビ、緑赤《静電気式打撃体》、現出など。前環境から引き続き活躍しているデッキは数多くあります。現在は赤単や白青ギフトに話題を奪われていますが、彼らはどれも数ヶ月間にわたって荒波に揉まれ続けてきた歴戦のデッキたち。いつ活躍しても不思議ではありません。
いよいよプロツアー『破滅の刻』が開幕
はたして現在のスタンダードは8つのカードセットを抱えてもなお変化し続けられるフォーマットなのか。今週末に控えるプロツアー『破滅の刻』は、その初めての試金石としても注目のトーナメントになりそうです。これまで通りに白青モニュメントやマルドゥ機体が勝ち抜くのか、それとも赤単アグロなど『破滅の刻』発の新しいデッキタイプが席巻するのでしょうか。今週末の答え合わせが待ち遠しくて仕方ありません。
記事のクオリティが高すぎる
滅茶苦茶な言い掛かりで草
どっかのチームが独自調整のギフトを持ち込んで話題になりそう
8つのカードセットを使う初めてのプロツアーって伝えたいことはわかるけど初めてじゃないし旧ローテ知らない人が誤解しないか?
面白そうなデッキが色々出てくるのが楽しみだよ
プロツアーハリウッド08がスタンで8つのエキスパンション使ってるよね
実は過去にはコールドスナップ+時のらせんブロック+ローウィンブロック+基本セットで9つのカードセットを有するスタンダード環境があったりする。
米6訂正。直近だとPTM15とPTオリジンでも8つでした。まぁ記事で言わんとしてることは理解できます
4,6,7,8 >ご指摘ありがとうございます。適切な表現ではありませんでした。”『カラデシュ』時のローテーション変更以後 “を意図して書いています。本文のほうは誤解が生まれないように訂正させていただきます。
らっしゅ解説毎週やるんだ・・・すごいね無理せず頑張ってください
らっしゅの記事好き、毎週読みたい
毎週だとメタ停滞したら苦行だろうから動きがあったらでいいよ
らっしゅっぽい記事だなと思ったららっしゅだった
クオリティ上がっとる。
贅沢な要望だけどあんまり触ってない身からするとd◯gとか晴◯る屋みたいに一発でカードテキストが出てくれるとありがたい…
タソガレなんていらなかったんや!
誰かを上げるために誰かを貶める事は、冗談でも愚かだと思わないかい?
スマナイ、※16を許してやってくれ
彼はきっと思慮も客観視も足りない、脳みそお花畑なセレズニアの木っ端会員なんだ
(擁護しているようなセリフで他ギルドをディスるとは流石イゼット)
簡潔で分かり易くも各カードの採用理由に言及してくれたり今後へのわくわく感も持たせる素晴らしい記事。尊敬する
※19
※18はイゼット団員の擁護風ディスと見せかけたディミーア工作員の巧妙な対立煽りだぞ。騙されてはいけない
あ、記事の内容はとっても面白かったです(小並感)
>>21
落ち着け、そいつはディミーアの工作員だ
今日もディミーアとオルゾフによるルサンチマンのお花が咲き誇ってるわ
反社会勢力は鎮圧DA!
らっしゅめんで草
白青ギフトは拡張性があるし強化の幅があるからなかなかメタが築きにくそうではある、クリーチャーアーティファクト触れる削剥はどのデッキでも必須な感じになりそう
赤単は多分メタろうとすると他のデッキに弱くなるせいで中々明確なメタが築きにくいて感じかな
そのあたり踏まえるとグリコンとか結構戦えそうという思いもある
今の環境は色々考えられて楽しいな
ラヴニカの平和の為にネフィリム2体討伐、新ギルドパクト設立をしたミゼット様こそ平和主義者。
どこぞの次元をぶち壊したドラゴンとは違うんだよ!
ギフトは墓地対策カードぶっ刺さりそうだけど肥やし速度で対抗すんのかな
その墓地対策カード筆頭な没収の曲杖にも削剥が刺さるんだよなあ。
これとスカラベの饗宴以外にまともな墓地対あったっけ?
赤緑の分割カード
※30
赤面弱いし墓地対策の緑面もライブラリーに加えてシャッフルなのがな…
>>はたして現在のスタンダードは8つのカードセットを抱えてもなお変化し続けられるフォーマットなのか!
なお毎環境ごとに禁止出して無理やり変化させてる模様
青白LOがけっこう強いと思うんだけどPTで使われないかな?青コンに弱いけど中速以降には強くてファクトに意識いってる今なら悪くなさそうだし赤単も霊気溶融とかで粘れれば。
8セットのスタン環境もいいけど、イクサランで5になるんでしょ。
プロにとっては5セットと8セットどっちがいいんだろうね…。
時間切れ多いデッキは使われないでしょ
必要悪のカウンターがなくなってよかったですね
>その墓地対策カード筆頭な没収の曲杖にも削剥が刺さるんだよなあ。
ソーサリーとして墓地をふっとばす分には問題ないがね
※34
プロにとってはどうか分からんけど、個人的にローテ直後は新セットの影響が特に大きいからスタンで一番好きな時期。
屍肉あさりの地がある
確かなんかのリストのサイドに入ってたね
曲杖より対策されにくいとは思う
自分は墓地使うデッキのサイドに没収を入れてるから、杖ならラッキーだけど土地なら手が出せない
※33
どんな感じのデッキです?
LOは青赤がベストっぽく感じでたんで。。
イクサランはアグレッシブな戦略を推すセットだから
現状の赤単環境がさらに支配的になるんじゃないかと危惧してる
実際のところ、全体除去がたくさん刷られたにも関わらず、構築の速いデッキにはまったく追いついてない
※40
削剥や蓄霊、破滅の刻が使える赤青コントロールをベースとしたタイプの悪くはないけどそれなら青赤の純正コントロールでいいしLOにする利点がすくない。もともと正気減らしありきのデッキだからそれをサーチできる武器庫の開放がある白を触って燻蒸や追放除去でサポートする形のほうが安定するかと。
※42
あ、武器庫の解放で呪い持ってこれるの失念してました。。
サーチあるなら青白の方がよさげですね。
41
アグレッシブがどんな感じかによるな
過食者伝書士の1マナ生物が消えるし3マナ4マナ圏にパワーカード来てもアグロ的には厳しそう
※41
全除去がたくさんって言っても破滅の刻の全除去はどれもアグロの最速にはそもそも間に合ってないからね。バントゥのはデメリットがきついし。結局焼けつく双陽か鞭打つ触手ぐらいしかないわけで、対アグロはそこまで強化されてないんよ。双陽としぶきがもらえたアモンケットの方が対アグロでは嬉しかったくらい。まあだからこそ青赤コンが環境に存在できたんだけど。