プロツアー『イクサラン』2日目ビデオハイライト:因縁のリベンジマッチ、幻の《逆毛ハイドラ》
今週末にアメリカのアルバカーキで開催されたプロツアー『イクサラン』。現地時間11月4日に行われた2日目の熱戦の模様を配信のハイライトともに振り返ります。
※ラウンド9〜11は『イクサラン』ドラフト、ラウンド12〜16はスタンダードで進行しました。
4ターン目のモンスター
Round9: Yam Wing Chun(MTG Mint Cards) vs Piotr ”kanister” Glogowski(無所属)

2日目最初のフィーチャーマッチは、ともに初日を8勝0敗で折り返した2人のマッチアップ。赤緑恐竜をドラフトしたYamが2枚の《巨大な戦慄大口》でGame1を先取すると、白黒吸血鬼のGlogowskiが2枚の《饗宴への召集》からの《聖域探究者》というビッグムーブでGame2を取り返します。
お互いにデッキの持ち味を見せつけて迎えたGame3。全勝者への道はYamの前に開かれます。《開花のドライアド》のマナ加速から4ターン目に登場したのは《突進するモンストロサウルス》。たまらずすべてのクリーチャーをブロックに差し出すGlogwskiでしたが、Yamの手札にはその計算さえも狂わせる《押し潰す梢》がありました。
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因縁のリベンジマッチ
Round10: Yam Wing Chun(MTG Mint Cards) vs Paulo Vitor Damo Da Rosa(Channel Fireball)
全勝街道を邁進するYamの前に立ちはだかったのは、プロツアー『破滅の刻』準決勝の赤単ミラーマッチで惜敗した因縁の相手であるPaulo Vitor Damo Da Rosa。ドラフトにも関わらず、奇しくも赤緑恐竜のミラーとなった今回はYamにとって負けられないリベンジマッチになりました。
《切り裂き顎の猛竜》と《レギサウルスの頭目》という強力なレアを擁するDamo Da Rosaを相手に苦戦するYamですが、Game3を5ターン目の《突進するモンストロサウルス》で押し切って勝利。『イクサラン』屈指の強力なアンコモンがラウンド9に引き続きYamに勝利をもたらしました。
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ローラーコースターライド
Round11: Eli Kasis(Card Hoarder) vs Owen Turtenwald(Ultimate Guard)
青赤テンポのKasisを迎え撃つのは白赤恐竜をドラフトしたTurtenwald。『イクサラン』環境を代表する攻撃的なデッキ同士が3-0をかけてぶつかりました。Game1を4ターン目に3枚のパーマネントを展開したTurtenwaldが先取すれば、Game2は《乗っ取り》と《大嵐呼び》でKasisが差し切るという一進一退の攻防を見せる2人。
そして1勝1敗で迎えたGame3も激しいダメージレースが繰り広げられます。先行したTurtenwaldに対して、Kasisも《裕福な海賊》に《向こう見ず》を付けて応戦する急展開。ライフ1点を争う攻防の末、除去とカウンターを構えるKasisの防御をすり抜けた決定打は、Turtenwaldが自身の《太陽冠のハンター》を《鉤爪の切りつけ》で傷つけるという好プレイでした。
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更なるシークレットテク
Round12: Guillame Matignon(無所属) vs Pascal Maynard(Massdrop West)
2010年の世界チャンピオンであるMatignonは久しぶりのプロツアー参戦にも関わらず、ブランクを感じさせない活躍を見せて10勝1敗の好成績で構築ラウンドまで漕ぎつきました。初日に話題になった《蝗の神》入りのジェスカイ副陽を使うMatignonですが、そのデッキにはまだ知られざるテクカードが潜んでいたのです。
Maynardが使うのは今大会の注目株である青白王神。デッキ相性差をいかしてGame1を楽々と先取したMatignonでしたが、Game2はキーカードである《復元》を大量に引き込んだMaynardの攻撃に脅かされます。そのピンチを救ったのは《遵法長、バラル》。《遵法長、バラル》の効果により、カウンターが次なるカウンターを呼ぶ展開になり、危ういゲーム展開も難なく乗り切ることに成功したのです。
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Top8一番乗りはMike Sigrist
Round13: Mike Sigrist(Channel Fireball) vs Guillaume Matignon(無所属)
12回戦終了時に11勝1敗の両者は、どちらも13回戦を勝てばTop8進出がほぼ決まります。トークン系を意識した構成の4色エネルギーを使うSigristを相手に、悠々とGame1を先取するMatignonでしたが、サイドボード後は打って変わっての苦しい戦いになりました。
《牙長獣の仔》や《ならず者の精製屋》などで小突きながら《否認》でバックアップし、隙があれば《反逆の先導者、チャンドラ》を展開する。そんなエネルギーらしい多角的な戦略にMatignonは対応できず、SigristはGame2・3ともに鍵となる《反逆の先導者、チャンドラ》を通してTop8に向けて貴重な白星をあげました。
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思わぬサドンデス
Round14: Seth Manfield(Genesis) vs Guillaume Matignon(無所属)
初日を6勝2敗で通過したManfieldは順調に勝ち星を集めて、13回戦終了時には11勝2敗の5位にまで順位をあげました。2位につけるMatignonともに、あと1勝でTop8が決まる緊張感漂う試合です。Game1はスゥルタイエネルギーを使うManfieldが《検閲》を避けながら丁寧に展開し、Matignonが2枚目の《副陽の接近》にたどり着く直前に殴りきる接戦となります。
しかしGame2はあっけない決着を見せました。2ターン目に《牙長獣の仔》、3ターン目に《巻きつき蛇》を展開して《牙長獣の仔》を強化、4ターン目も強化。僅か2ターンの間に8/8まで成長した《牙長獣の仔》が一瞬でManfieldに勝利をもたらしたのです。
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《燻蒸》と《削剥》、2つの決断
Round15: Owen Turtenwald(Ultimate Guard) vs Pascal Maynard(Massdrop West)
11勝2敗1分同士。勝つとTop8進出が確定する2人のマッチアップ。青白王神のMaynardが先取すれば、すぐさまティムールエネルギーのTurtenwaldが取り返し、決着はGame3にもつれ込みます。Game3はTurtenwaldが2枚の《牙長獣の仔》でプレッシャーをかけ、それを苦しそうにMaynardが受ける展開。Turtenwaldの手札には《削剥》と《反逆の先導者、チャンドラ》があり、Maynardは絶体絶命の危機に追い込まれます。
そんな《復元》では解決できない局面を前に《水没遺跡、アズカンタ》を起動すると、捲れたカードは《燻蒸》。しかし、《否認》を怖がったMaynardは《燻蒸》ではなく《発明の天使》を出して決断を先送りします。意見が分かれる場面ですが、結果的にこの選択がゲームの流れを大きく変えることになりました。《否認》を持たないTurtenwaldは、《削剥》と《反逆の先導者、チャンドラ》を使ってブロッカーを除去して決着を急いだのです。
このTurtenwaldの反撃を受けたMaynardは《燻蒸》でなんとか生き延びますが、再展開されたTurtenwaldのクリーチャーと《反逆の先導者、チャンドラ》に再び追い詰められてしまいます。しかし、もう《削剥》はありません。続くターンにMaynardが引いたのは、なんと《復元》。《王神の贈り物》から《発明の天使》が速攻と絆魂をもつ6/6として登場し、Turtenwaldの《反逆の先導者、チャンドラ》もろともすべてを奪い去ったのです。
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幻の《逆毛ハイドラ》
Round16: Owen Turtenwald(Ultimate Guard) vs 山本 賢太郎(Musashi)
ついに迎えた最終戦。勝利すればTop8に入賞する可能性が残されている2人がフィーチャーテーブルに呼ばれました。Turtenwaldはティムール、対する山本は赤単アグロです。Game1はTurtenwaldの5枚目の土地が遅れた隙をついてダメージを稼いだ山本が逃げ切り、Game2は攻勢に回れない山本に対してTurtenwaldが《逆毛ハイドラ》で圧倒しました。
1勝1敗でもつれ込んだGame3。お互いに除去で捌きあった後に《逆毛ハイドラ》を出したTurtenwaldがリードする展開。しかし、土地の使い方を間違えて2枚目の《逆毛ハイドラ》を出せずにターンを返すミスを犯してしまいます。それを見逃さなかった山本は火力呪文を本体に叩き込むと、《熱烈の神ハゾレト》の攻撃でダメージレースを逆転し、後続を引かないTurtenwaldを尻目に《反逆の先導者、チャンドラ》で削りきったのでした。
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関連リンク
プロツアー『イクサラン』2日目スタンダード・メタゲームブレイクダウン – マジック日本公式サイト
プロツアー『イクサラン』 日本人プレイヤー・スイスラウンド最終成績一覧 – マジック日本公式サイト
プロツアー『イクサラン』トップ8決定&スタンダードリスト公開、エネルギーや白青ギフトなど
なんじゃ~~このレベルの高い記事は!!!
プロでも色ミスするんだな
らっしゅだろうなと思ったら、らっしゅだった
1ゲーム目は事故勝ちだったとはいえYamはよくPVに勝てたよな
こういう記事が見られるのはいいなぁ
プロツアーに興味が持ちやすくなる
火力もPW対象除去も増えてチャンドラも控えめになるかと思ったらそうでもないのな
マナ加速も除去も疑似ドローもできるのは偉大なんやな
オーウェンVSパスカルの試合は、不利な時は負けない選択をするのではなく、負けるリスクを犯してでも勝ちの目がある手を撃つのがいいという印象を受けた
プロツアー破滅の刻限
因縁のリベンジマッチのところで、破滅の刻が破滅の刻限になってますよー
※8,9
修正させていただきました、ご指摘ありがとうございます
わかりやすい良い記事!
これからもお願いします!
※7
それもそうなんだけど、どちらかというとオーウェンがあの盤面で負け目になるギフトの着地に対応できる削剥を発明の天使に切ったのがプレミだった気がする
なんだかんだGPGはギフトが着地できれば勝てるってデッキだし、逆に言えばギフトの着地さえ許さなければ燻蒸撃たれてもチャンドラが生き延びてそのまま勝てただろうし
負け目をケアしなかった優勢側と勝ちの目をきっちりトップデックした劣勢側って感じでうまくハマったんだと思う
※12
絆魂絡みでゲームが長引くと、除去の枚数が足りなくて復元からギフトを許してしまうし、キーカードを引かれる前に決着を付けるのは有り得る判断
あのドローの組み合わせ以外だったらほぼ勝ってたわけだし、もし1枚目のギフト弾いてもそんなに優勢と思えない
凄く分かりやすい解説ありがとうございます!
※13
もう1回中継映像見てたけど、
まず削剥撃った場面では、メイナード側が土地7で手札が燻蒸含む2枚だから次のターン燻蒸+復元される心配はほぼない(前提)
削剥を使わない場合、想定できる流れは
1.次のターンチャンドラで天使焼く場合
トークン2体で牙長チャンプで残り6でターンを返す
1.a 返しに素引きor手札交換から復元(→ほぼ負け)
1.b 燻蒸で盤面が流れてライフ10、チャンドラでマナ出して巨匠(or引いたクロック何か)+削剥構えてターン返す
2.天使を焼かずにフルパンする場合
牙長と精製屋がチャンプ&相撃ちで残り11で削剥構えてターンを返す
2.a. 返しに素引きor手札交換から復元に削剥なら、召使と牙長が残ってターンが戻ってくる(実際のドローの流れでは牙長の片方が対処されそうだけど)
2.b. 燻蒸で盤面流れて残り14、以降ずっと削剥構え
こんな感じ。
確かに「そのまま勝てた」は言い過ぎたけど、削剥撃っても撃たなくてもチャンドラの返しに素引き復元で負けなら、相手が次のターンに(手札交換込みで)復元がないとして踏み込むなら削剥は撃たない方が正解に思える
削剥撃った返しの引きで削りきれるか再検討してみた
蓄霊、調和(+チャンドラでトークン焼く)、マグマのしぶき(+巨匠でエネルギー供給)→牙長のパンプが1回増えるのみで足りない
グロブリ→召使が殴れなくなる&牙長のパンプができずで1点足りない
無理そう
レベルが高い記事
変化がないとかいってすまんかった
イゼ速がプロツアー公式記事みたいになってて草、明日も期待してる
晴れるやオーナーの人は初日はかなり成績いいけど二日目で負け越すイメージ強いな
早く優勝セールで安く大売り出しして欲しいんだが
ローラーコースターライドってサブタイがいい味出してる
元ネタって何かあるのかな?