という訳で『戦乱のゼンディカー』プレリリースイベントに参加してきました。大体の流れはタイトル通りですが少々お付き合いください。

私にとってプレリリースイベントというのは非常に胸躍るものです。未発売の商品を開封し、パソコンの画面で眺めるしかなかったカードの実物に触れ、誰もが同じスタートラインからデッキを構築し、そして戦う。手垢の付いていない新鮮な機転や発想で勝利したり、長いテキストの意味に四苦八苦したりしながら今後のスタンダードやリミテッドについて思いを馳せて、勝っても負けても対戦相手と語らう。こういったことができるのは発売前イベントならではの魅力と言っていいでしょう。今回のレポート記事が体験済みの方には少しの共感と参考に、未経験の方には次回参加への僅かな後押しになれば幸いです。

さっそく本題へ。まずはプレリリースキットを開封します。以前はギルドや氏族などテーマによって複数種のキットが用意されていたのですが、今回は1種類にまとめられた形となりました。キットには『戦乱のゼンディカー』6パック、20面ライフカウンター、しきり、そして日付の入ったプレリリースプロモが封入されています。本イベントのフォーマットは40枚のデッキを即席で作るシールド戦で、プレリリースプロモやZendikar Expeditionsのカードももちろん投入可能です。

今回の箱はここ数年主流となっていたいわゆる「お弁当箱」と違い縦型であり、デッキケースとしても優秀です。イベント中はこれにメインボードとサイドボードのカードを仕舞って席の移動を行いました。

プレリリースプロモですが、私が引いたのは《乱動を刻む者、ノヤン・ダール》でした。スタンダードにおいては《ジェスカイの隆盛》とのシナジーが期待される1枚ですが、当然リミテッドにおいても強力なはず。色拘束もそこまできつくはないため、白か青が中心となる場合はもう片方をタッチする形での採用も見込めます。

ブースターパックの開封にとりかかります。今回出現したレアはこちら。

《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》とご対面です。正直レアだけで言えば現時点で黒は確定かのように思われました。引っ張られすぎるのも問題ですがカードパワーがモノを言うシールド戦ではそれもまた必定。ニクシリスは十分なエンドカードであり《フェリダーの君主》もフィニッシャーとして申し分なく、白黒の若干コントロール気味なデッキを目指そうと考えていました。全体のプールを確認するまでは。

無色はエルドラージ少なし、このためエルドラージランプは無し。自動的に緑のマナ加速呪文も無理して採用する必要はなし。除去も多く小型の同盟者やコンバットトリックも優秀、レアとも噛み合った色のためこの時点で大体白は確定しました。あとは相棒をどの色にするか。期待していた黒は予想外の薄さで、ダブルシンボルを持つニクシリスのためだけにデッキのバランスを傾けるのはあまりにリスキーです。赤緑の上陸デッキも考えましたがそれほど完成度がある訳ではないのに噛みあうレアもなくこれまたボツ。その辺りで目に付くようになったのが青の覚醒呪文たち。バウンスやタップなどテンポを握るためのカードが多く、レアにも《希望を溺れさせるもの》というボムがいます。つなぎの中マナ域にもクロックとして十二分な飛行クリーチャーがおり、末裔トークンののさばる地上を無視できるため強力です。

最終的にはレアが強くカードの質がそこそこの白に優秀な覚醒呪文とそれらを回収できる《ハリマーの潮呼び》有する青を足し、ノヤン・ダールをも採用した白青のミッドレンジデッキ（同盟者シナジーも少々）が完成しました。さらばニクシリス。

第1回戦：vs 青赤エルドラージ

対戦相手の方のデッキは《コジレックの伝令》や各種末裔トークンで巨大クリーチャーのキャストをサポートする青赤のエルドラージデッキ。緑型より大型クリーチャーの登場は遅めですが、赤の火力呪文と青の妨害呪文が非常に厄介です。

Game1：負け
ダイスロールに負け後手に。マリガンはなし。順当に《コジレックの伝令》が着地し鎮座、こちらはそれに対処する手段が引けずにそのまま《軍団を破壊するもの》が着地し戦線が崩壊。

Game2：勝ち
先手を選択。マリガンし土地が平地と島の2枚しか見えないもののバンクーバー・マリガンに賭けキープ。トップを平地に。序盤から《コーの懲罰者》などのクロックを展開。再び《コジレックの伝令》が登場するも《掴みかかる水流》でバウンス。その後も阻害を挟みつつ《ハリマーの潮呼び》で回収した《掴み掛かる水流》を覚醒付きでキャスト。次の手番に《雲マンタ》と覚醒した土地で殴って勝利。

Game3：勝ち
後手。マリガンはなし。相手の土地展開が1ターン遅れたため攻守が入れ替わりこちらが軽量クリーチャーで攻める側に。除去でクロックを潰されるものの《空中生成エルドラージ》など末裔を生み出すカードによってアドバンテージを獲得していく。《うねる撃ちこみ》によりノヤン・ダールを含めた盤面崩壊の危機に瀕するものの、構えておいた《二人戦術》で2体のタフネスを上昇させ回避し、返しのターンでそのまま押し込み勝利。

※本筋とは関係ないのですが、対戦相手の方が最初「呪文のバウンス」を「パーマネントのバウンス」と勘違いされていました。「呪文」は正しくは「スタック上にあるカード」のことを指します。《粗暴な排除》は最近のセットではなかなか見かけない挙動をしますので始めたての方や「スタンダード専」の方は特にご注意下さい。

第2回戦：vs 黒緑エルドラージ

対戦相手の方のデッキは緑のマナ加速と黒の除去を有する黒緑エルドラージ。構成が素直な分他の色に比べてフィニッシャーが早期に登場し、オマケに黒の万能除去でブロッカーを粉砕可能なパワフルデッキ。

Game1：勝ち
ダイスロールに負け先手に。マリガンはなし。手札がハイカロリーなのか4ターン目まで展開がなくこちらのクロックが打点を稼ぐ。《荒廃を招くもの》が着地するも追放領域のカードが足りず末裔は無し。《大物潰し》でそれを除去し押し込んで勝利。

Game2：勝ち
相手もこちらのアーキタイプを察したのか今度はこちらが後手に。マリガンなし。序盤から《威圧ドローン》《マラキールの使い魔》を展開され思うように攻撃が通らなくなるものの、後半《希望を溺れさせるもの》と《フェリダーの君主》が着地。《存在の一掃》で《希望を溺れさせるもの》が対処されたものの、末裔トークンと君主でそのまま殴り勝ち。

第3回戦：急用によりドロップ

途中でドロップしたため3戦目のレポートはありません。申し訳ない。

総評：惜し、ニクシリス

デッキの完成度自体には満足していますが、未だに黒の路線があったのではと未練タラタラです。嚥下に関する特性をその場で掴み取りきれなかったことも少し残念ですが、シールドだとカードプールの関係上扱いづらくも感じました。《ハリマーの潮呼び》と覚醒呪文の組み合わせは分かりやすく強力で、特に盤面に触るタイプの覚醒呪文は序盤にクロックが展開できるアーキタイプで採用すると鬼のような強さです。《二人戦術》も下馬評通りの性能の頼もしいカードでした。あとタフネス1の地上クリーチャーは末裔に弱すぎるため、リミテッドではその辺りを意識して構築する必要がありそうです。

今回は対戦相手は二人共エルドラージデッキだったので、テンポ重視のこちらのデッキとは相性がイマイチだったかもしれません。時間が許せば上陸アグロや同盟者といったより早いデッキとも戦ってみたかったですね。

さて、貴方ならこのプールでどのようなデッキを組まれますか？

P.S.
Zendikar Expeditionsの《霧深い雨林》を引いた友人Aへ。焼肉パーティーはいつ開催になりますか？回らない寿司パーティーでもいいです。至急返事下さい。