いよいよ発売を来週の金曜日に控えた『ゲートウォッチの誓い』。今回もプレリリースに参加してきました。

残念ながら時間帯的に双頭巨人戦には参加できず。個人戦のみの参加となりました。一応、土日で2回参加したのですが初日は諸般の事情で早々に撤退。大変遅れ馳せながら二日目の結果のみをご報告させていただきます。

▲あ、『ゲートウォッチの誓い』からではないですが初日パック開封分からZendikar Expeditionsの《踏み鳴らされる地》出ました。やりぃ。

デッキ構築

何はともあれプレリリースキットを開封。内容物は『ゲートウォッチの誓い』が４パックに『戦乱のゼンディカー』が２パック。必然的に『戦乱のゼンディカー』に収録されている「嚥下」や「昇華者」といったギミックは若干使いづらくなっています（追放系の呪文は存在するので狙えない訳ではありませんが、カードプールに左右されやすいのは確かです）。

▲プレリリースプロモは《世界を壊すもの》。ジョリー・エンの採用は赤のプールが弱く断念。《ゲートウォッチ招致》がプレインズウォーカーが出なかったので機能せず。《姿を欺くもの》は使いづらく、『戦乱のゼンディカー』からは土地が出現。よって黒緑を前提にデッキ構築を行うことになったが……。

レアにそのまま引きづられ黒緑デッキを目指すも、プレイアブルなカードがどう考えても２２枚に届きません。さてどうしたものかと頭を悩ませ、最終的には《空中生成エルドラージ》や《精神溶かし》有する青を加えて３色（無色マナを要求する能力を起動するために無色マナを必要とするので実質４色）デッキを構築することになりました。そうして完成した明らかにアレなデッキ。果たして、本当にこれで勝てるのでしょうか……？

▲土地枠に《窪み渓谷》《崩壊する痕跡》《未知の岸》、そして《荒地》を１枚採用。ピーキーなマナ基盤だが《巡礼者の目》の活躍と右手に期待したい。

第一回戦：VS白黒緑同盟者 ×○-

対戦相手の方はこのプレリリースが数年ぶりのマジックイベントの模様。こうした復帰組が増えるのは嬉しいことだと、となんだかほっこりしつつも試合開始。ですがゲーム１はそんな気分をも吹き飛ばす泥沼の展開へ……。

固い。とにかく戦線が固い。飛行で超えようにも《マキンディの飛空士》や《吸血鬼の特使》が上空をがっちりと抑えています。《タジュールの道守》を戦場に出すも0/6の前では意味をなさず、《ズーラポートの鎖魔道士》にゆっくりと命を刈り取られてそのまま負けてしまいました。

ゲーム２は相手のデカブツを《忘却の一撃》や《悪魔の掌握》で掃除しつつ、《タジュールの道守》２体で圧殺し勝利。警戒とトランプルはやはり優秀です。

ゲーム３は残念ながら途中で時間切れ。各ラウンドの勝者は『ゲートウォッチの誓い』１パックを貰える仕組みになっていたので、結局ダイスを振ることになり、なんとか獲得できました（勝敗自体は引き分け）。

第二回戦：VS白黒緑ランプ ○×○

ランプデッキと言いつつ末裔が殴りかかってビートしてくる現リミテッド環境。デッキの性質が似通ったこの対決では先にマウントを取った方がそのまま勝者です。

ゲーム１は《耕作ドローン》や《形状の管理人》から高速で《世界を壊すもの》を展開し相手の土地を破壊。高マナ域の展開を阻害しつつ除去を絡め一方的な展開へと持ち込んで勝利しました。世界を壊す、歌（呪文）がある。

ゲーム２ではこちらがかなり日和ったキープをしてしまい、序盤から《ベイロスの仔》や《末裔招き》にガッツリとライフを削られることに。こちらも《産み落とす巨体》で防戦を固めるも、《闇の掌握》で綺麗に除去されて敗北。

３ゲーム目は中盤まで膠着状態が続きますが、着地した《精神溶かし》が少しずつクロックを刻んで勝利。やはりこの環境でアンブロッカブルはかなりの強さです。

第三回戦：VS青黒テンポ ××

まさに圧倒的な敗北でした。完成度の高い青黒がこれほどのものとは。

『ゲートウォッチの誓い』収録の青のクリーチャーはタッパー、マナ・クリーチャー、飛行持ちとかなりの豊富さを誇っています。対してその他呪文の質はレア以外イマイチ。ですがそこを黒の優秀な除去カードで補えれば向かう所敵なし……という事実を実践で解らされました。これらに加えて《精神溶かし》までいるのですから、もう相手の攻勢は止まりません。ゲーム１も２もすんなりと負けてしまいました。

終盤の詰めにおいて特に厄介さを感じたのがこの《コジレックの叫び手》ですね。単純なパワー修正や威迫も強力なのですが、問題はこの能力が「無色マナのある限り何度でも起動できる」ということです。終盤は無色マナ・クリーチャー経由を含めて２～３回パンプされることもあり、非常に対処の難しいクリーチャーでした。

総評：青の生物強し、タフネス偏重の環境に注意

『戦乱のゼンディカー』のみの環境であれば白や青の飛行クリーチャーを適当に集めて地上を固めてたらなんとかなった、ということがままあったのですが、『ゲートウォッチの誓い』込みのシールドはとにかくタフネス偏重のクリーチャーが多く（『ゲートウォッチの誓い』収録のパワーとタフネスの値が異なるクリーチャーの数を数えてみたところP>Tが２６種類、P<Tがなんと３８種類でした！ちなみに『戦乱のゼンディカー』ではP>Tが３６種類、P<Tが４０種類となります）、定番だった《空中生成エルドラージ》などが（もちろん強いのですが）その力を若干弱めているように感じます。先ほどの《タジュールの道守り》なども2/3のクリーチャー２体にブロックされ１：１交換を迫られるなど、強力なクリーチャーにはそれだけの調整が施されていることが分かってきました。

こうした環境ではパワーやタフネスのほんの僅かな修正が明暗を分けることになります。支援は膠着状態に陥りがちなゲームを突破する非常に有用な手段となるでしょうし、修正と威迫の得られる《甲殻の外套》なんかは是非欲しい装備品です。主要なアーキタイプとしては攻撃性能の高い白の軽量クリーチャーと緑の支援呪文を組み合わせた白緑支援や、タッパーや除去、バウンスでブロッカー自体を排除してしまう青黒テンポなどが今後の定番になるのではないでしょうか。赤のカードは感触を確かめられなかったので、コメントをいただければ幸いです。

以上で簡単にですがプレリリースレポートを終わらせていただきます。ほんの少しでも新たなリミテッド環境の空気を感じ取っていただければ嬉しい限りです。

おまけ：東京都新宿区高田馬場の鶏そば「三歩一」

友人らと参加した賑やかかつ緊張感のあるプレリリースも終わり、一気に集中の糸が切れる。昼に軽く入れたものの既に夕刻、こういう時はやはり腹が減るものだ。遠方（出不精の私にとって高田馬場は十分に「遠方」だ）に出かけた際の飯は私のマジック以外の数少ない楽しみである。どこかいい店はないものか。「成蔵とかどうですか」と友人A。「成蔵は旨いが、もう何回も食ってるしなぁ」とぼやく。あの特上のトンカツをして食べ飽きたとは贅沢な話だ。「俺最近脂っこいものはちょっと、な」と友人B。お前、一体いくつだよ。

「あ、じゃあいい店知ってますよ。鶏そばとかどうです？」

鶏そば。実は今までこのジャンルのラーメンは食べたことがなかった……というより、避けていた。今まで入ったことのある「ダシの旨さ」を雄弁に語るラーメン屋は大抵ダシのみに注力しており、どうしてもパンチに欠けると感じるものが多かったのだ。単に店運が悪いだけなのだが、ダシ系ラーメンの代表格である「鶏そば」にもいつの間にか心の中に若干の抵抗が生まれてしまっていた。

「いやいや、あそこのは特別っすよ。ババでラーメンって言ったら大抵俺の空かそこですね。」

ラーメン通を自称するAがそこまで言うのであれば試してみる価値はあるかもしれない。Bもそれに同意し、Aイチオシの鶏そば屋「三歩一」へと向かうことになった。駅から歩いて１０分ほどだろうか、いや空腹で時間の感覚がおかしかったかもしれないが、なんとか道中の他の店に入る誘惑を振り切ることができた。

佇まいは古風で、老舗の居酒屋か焼き鳥屋を思わせる。店内は少し暗めだが、食べ物を美味しく見せる暖色照明が効率よく配置されていた。女性店員の案内に従って券売機の前に立つ。えーと、鶏そば鶏そばと……ん、「濃厚鶏そば」？これは通常の鶏そばと何が違うのだろう。お、俺の好きなつけ麺もあるぞ。これは一体どうしたものやら……ええい、ここは濃厚、濃厚一択だ。こういう時は高い方を頼むのが鉄則だろう。カウンター奥のコワモテの職人達は鋭い眼光で麺の入った鍋を睨んでおり、なんだかちょっと声を掛けづらいのだ。続けてAは同じく濃厚を、Bは体を気遣って通常の鶏そばを選択した。

食券を渡して数分、目的のブツがやってきた。

まず目を引いたのは２種類のネギだ。白ネギと青ネギがどんぶりの両端に並んでいるではないか。どちらも好みの俺にはドンピシャなトッピングである。それにスープ。濃厚を謳うだけあって実に香り高く、口に運ぶ前から上質な鶏ガラの気品ある香りが湯気とともに漂ってくる。はやくスープを飲みたい。

レンゲでスープを掬い、一口。その瞬間口いっぱいに鶏の旨味が勢いよく広がった。「濃厚」の名を冠しているものの口当たりは非常にあっさりとしており、それでも舌を絶え間なくダシのコクが刺激する。そうだよ、こういうラーメンが食べたかったんだ！続けて麺を勢いよく啜る。実家福岡の博多ラーメンを彷彿とさせる固めの細麺がスープと絡まり、喉に心地いい。これならいくらでも食べられそうだ。続けて肉に手を付ける。鶏もものチャーシューと炙り、そのどちらもが魅力的だが、まずはチャーシューからだ。うん、うん、旨い。薄桃色の肉は弾力を残しつつも決して固くはない。ちょうどいい塩梅だ。あぶらも舌の上でさっと溶けていく。続けて炙りへ。うん、こっちも最高。炙りって、炙っただけなのになんでこんなに旨いんだろう。合間合間で挟めるメンマも、最後までこの一杯を飽きずに愉しむ手助けをしてくれる。スープを飲み、麺を啜り、肉を喰らう。なんて幸せな時間なのだろうか。

「ね、美味かったでしょ？」

食べ終わり店を出た俺に、得意気にAが語る。確かにお前のセンスは正しかったよ。

「ババに来たら、また寄ってみるかぁ」

冷たく吹き付ける冬の風も、昂った俺の気分にはちょうどいい温度だった。いやぁ、やっぱりマジック：ザ・ギャザリングは最高だぜ！