皆さんこんにちは。

「今週の注目デッキ」は、様々なフォーマットの注目のデッキを紹介する記事です。

目次

スゥルタイ根本原理（スタンダード）
続唱ティボルト（モダン）

スゥルタイ根本原理（スタンダード）

『カルドハイム』で最もスタンダードにインパクトを与えたカードは、《黄金架のドラゴン》か《スカルドの決戦》のどちらかであることは、最早疑いの余地もありません。

しかし、今スタンダードを牽引しているのは、その2種類のカードではなく、『イコリア』で登場したとある1枚です。

そう、帰ってきた根本原理シリーズの中で、これまではあまり注目されていなかった《出現の根本原理》です。

ライブラリーから名前の異なる単色のカードを3つ選び、その内相手が選んだ1枚を除いて残りを唱える。このド派手な呪文をフィニッシャーに据えたスゥルタイコントロールこそが、今のスタンダードで最も強力なデッキと言われています。

カルドハイムチャンピオンシップ予選：優勝　プレイヤー：Kensuke Kato
デッキリスト
4:《ゼイゴスのトライオーム/Zagoth Triome》 4:《樹皮路の小道/Barkchannel Pathway》 4:《闇孔の小道/Darkbore Pathway》 4:《清水の小道/Clearwater Pathway》 4:《沼/Swamp》 4:《森/Forest》 3:《寓話の小道/Fabled Passage》 2:《島/Island》 1:《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》 30 lands 2:《嘘の神、ヴァルキー/Valki, God of Lies》 2:《絡みつく花面晶体/Tangled Florahedron》 1:《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス/Vorinclex, Monstrous Raider》 5 creatures	2:《精神迷わせの秘本/Mazemind Tome》 2:《エシカの戦車/Esika’s Chariot》 4:《海の神のお告げ/Omen of the Sea》 4:《古き神々への拘束/Binding the Old Gods》 3:《エルズペスの悪夢/Elspeth’s Nightmare》 2:《サメ台風/Shark Typhoon》 1:《キオーラ、海神を打ち倒す/Kiora Bests the Sea God》 4:《耕作/Cultivate》 4:《出現の根本原理/Emergent Ultimatum》 3:《影の評決/Shadows’ Verdict》 2:《アールンドの天啓/Alrund’s Epiphany》 2:《絶滅の契機/Extinction Event》 2:《海門修復/Sea Gate Restoration》 1:《バーラ・ゲドの復活/Bala Ged Recovery》 4:《無情な行動/Heartless Act》 3:《取り除き/Eliminate》 2:《ジュワー島の撹乱/Jwari Disruption》 45 other spells 1:《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》 3:《否認/Negate》 2:《強迫/Duress》 2:《神秘の論争/Mystical Dispute》 2:《星界の大蛇、コーマ/Koma, Cosmos Serpent》 2:《秘密を知るもの、トスキ/Toski, Bearer of Secrets》 1:《影の評決/Shadows’ Verdict》 1:《取り除き/Eliminate》 1:《塵へのしがみつき/Cling to Dust》 15 sideboard cards

《出現の根本原理》で持ってくる3枚は、主に《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》、《アールンドの天啓》、《キオーラ、海神を打ち倒す》の3枚です。

《アールンドの天啓》を相手が選べば、《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》の能力で《キオーラ、海神を打ち倒す》の第1章と第2章が同時に誘発し、対戦相手のクリーチャーをすべてタップ状態にし、《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》のアタック2回＋8/8トークンで20点を与えます。

《アールンドの天啓》が選ばれなかったなら、よっぽど不利な状態でない限り、ゲームを掌握できるでしょう。《アールンドの天啓》を打って盤面が解決しないほど不利ならば、《影の評決》・《キオーラ、海神を打ち倒す》・《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》とサーチすれば良いのです。

その他にも、《嘘の神、ヴァルキー》を選んで《星界の騙し屋、ティボルト》として場に出したり、《海門修復》でカードを引いたりなど、とにかく必殺のパターン以外でも《出現の根本原理》が様々な役割を果たすのがこのデッキなのです。

《出現の根本原理》でのサーチ先を確保したいため、ライブラリーを80枚にできる《空を放浪するもの、ヨーリオン》は理にかなっていると言えます。

そして基盤はスゥルタイコントロールというわけで、その《空を放浪するもの、ヨーリオン》と相性の良いカードで脇も固められています。

特に新戦力の《古き神々への拘束》は、このデッキととても噛み合った1枚。《エルズペス、死に打ち勝つ》がないカラーは《グレートヘンジ》の対処に困っていましたが、もうその心配はいりません。

第2章による土地サーチも、《発生の根本原理》を一刻も早く打ちたいこのデッキでは嬉しい能力です。

2章の後に《空を放浪するもの、ヨーリオン》でもう一度除去を行う展開は、このデッキの勝ちパターンです。

現在のスタンダードは、除去されるだけで負けてしまう純粋なアグロが減り、《スカルドの決戦》で長期戦にも強いアグロが増えている状況です。

本来コントロールデッキは《スカルドの決戦》を苦手としているはずですが、このデッキには《出現の根本原理》というゴールが存在します。

それがスゥルタイ根本原理が活躍している要因の一つと言えるでしょう。

更に環境にはラクドスミッドレンジや各種ドゥームデッキなど、アグロを意識したコントロールデッキも多い状況です。

アクションが大ぶりなデッキゆえに、打ち消しを擁するデッキ、とりわけローグを苦手としているものの、その他の多くのデッキを得意としています。

スゥルタイ根本原理の登場で赤単やグルールなど、《スカルドの決戦》を使用しないアグロデッキが増えており、すっかり現在は意識される側のデッキとなっています。

毎週強力なデッキが現れるスタンダード、果たして今週活躍するのはどんなデッキなのでしょうか。

日本選手権ファイナルにも注目ですね。

続唱ティボルト（モダン）

続唱という言葉は、たびたびモダンを脅かします。

唱えた際に確実にアドバンテージをもたらす続唱というシステム。《血編み髪のエルフ》はリソースとクロックを同時に得られるカードとして、禁止解除されてからモダンで活躍しています。

一方、その続唱を悪用するデッキもモダンには存在します。それがリビングエンドです。

続唱呪文は、それよりもマナコストが低いカードがめくれるまでライブラリーを上からめくり、そのカードを唱えることができます。例えば《暴力的な突発》を唱えると、マナコストが2以下のカードが公開されるまでデッキを上から追放することになります。
デッキに2マナ以下のカードがなければ、確実にその呪文が使えるようになるというわけです。

これを悪用し、続唱呪文が確実に《死せる生》になるというのがリビングエンドです。

そして、同じように続唱を活用したのが、今モダンで最も話題のデッキ、続唱ティボルトです。

モダンチャレンジ：優勝　プレイヤー：DO0MSWITCH
デッキリスト
1:《繁殖池/Breeding Pool》 1:《死者の原野/Field of the Dead》 4:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》 1:《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》 1:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》 1:《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》 4:《霧深い雨林/Misty Rainforest》 2:《神秘の聖域/Mystic Sanctuary》 1:《ラウグリンのトライオーム/Raugrin Triome》 4:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》 1:《冠雪の森/Snow-Covered Forest》 1:《冠雪の島/Snow-Covered Island》 1:《冠雪の平地/Snow-Covered Plains》 1:《蒸気孔/Steam Vents》 1:《寺院の庭/Temple Garden》 1:《湿った墓/Watery Grave》 26 lands 2:《厚かましい借り手/Brazen Borrower》 2:《創造の座、オムナス/Omnath, Locus of Creation》 4:《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》 4:《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》 3:《嘘の神、ヴァルキー/Valki, God of Lies》 15 creatures	4:《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》 2:《謎めいた命令/Cryptic Command》 1:《四肢切断/Dismember》 4:《否定の力/Force of Negation》 4:《暴力的な突発/Violent Outburst》 4:《献身的な嘆願/Ardent Plea》 19 other spells 1:《厚かましい借り手/Brazen Borrower》 1:《四肢切断/Dismember》 2:《炎渦竜巻/Firespout》 3:《コーの火歩き/Kor Firewalker》 4:《神秘の論争/Mystical Dispute》 2:《貪欲な罠/Ravenous Trap》 1:《至高の評決/Supreme Verdict》 1:《機を見た援軍/Timely Reinforcements》 15 sideboard cards

続唱ティボルトもリビングエンドと同様に、デッキには2マナ以下のカードが1種類しか入っていません。それは《嘘の神、ヴァルキー》です。

しかし、続唱でめくれて戦場に出るのは《嘘の神、ヴァルキー》ではなく、《星界の騙し屋、ティボルト》です。これはモードを持つ両面カードのルールとして、「唱える際に表面か裏面を選ぶ」とあるからです。

続唱で2マナ以下の《嘘の神、ヴァルキー》がめくれて唱えられるようになり、唱える際に表か裏を選べるので、わずか3マナで7マナのプレインズウォーカーを戦場に出せるというわけです。

デッキには2マナ以下のカードを入れられないため、序盤の動きが心配になるかもしれませんが、《厚かましい借り手》や《四肢切断》、《否定の力》などは、早いターンから使える3マナ以上のカードです。

そしてこのリストの特徴は、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《創造の座、オムナス》です。

《星界の騙し屋、ティボルト》は毎ターン2枚のカードを供給してくれるカードですが、単体でフィニッシャーの役割は果たしません。そこで、墓地から帰ってくる《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《創造の座、オムナス》の出番というわけです。

どちらもマナを生み出せるため、続唱に頼らずに手札から《星界の騙し屋、ティボルト》を唱える手助けもしてくれます。

また、これらのカードは続唱を封じられた際に役立ちます。

サイドボード後は《耳の痛い静寂》や手札破壊、打ち消し呪文で《星界の騙し屋、ティボルト》を出すのが困難になります。

しかし、サブプランとして《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《創造の座、オムナス》、《死者の原野》が用意されていれば、それらのキラーカードをすり抜けられます。

サイド後は《星界の騙し屋、ティボルト》を唱えても勝ちが確定しないバーン相手に、《コーの火歩き》が用意されています。

2マナ以下のカードをサイドインすることになり、これでは《星界の騙し屋、ティボルト》が続唱で確定しないのですが、問題ありません。むしろ《嘘の神、ヴァルキー》をすべてサイドアウトし、続唱すると《コーの火歩き》が確定でめくれるようになるのです。

1枚でも引けばバーンに勝てると言っても過言ではないカード、《コーの火歩き》が実質デッキに11枚入っているというのは実に恐ろしく、バーン相手にサイド後を取りこぼすことはほとんどありません。

このデッキは高速で《星界の騙し屋、ティボルト》を出すコンボデッキながら、周りのカードたちは単体で強力なものばかりです。《創造の座、オムナス》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は対策カードを超えた勝ち手段となり、《時を解す者、テフェリー》は厄介な置物を戻し、《否定の力》が致命的な呪文を打ち消します。

そのため、非常に対策がしづらいデッキとなっています。コンボデッキはただ1枚のカードでゲームに敗北する可能性がありますが、続唱ティボルトにはそれがないのです。ミッドレンジが1枚のカードで大きく動きを制限されることがないのと同じです。

続唱ティボルトは、続唱1枚でコンボが成立するデッキで、続唱と《嘘の神、ヴァルキー》以外のカードはある程度自由に構築できます。コンボを内蔵したミッドレンジ/コントロールなのです。

現在、続唱ティボルトには様々なバリエーションがあります。続唱と《嘘の神、ヴァルキー》以外という根幹さえあれば、後のパーツ次第でデッキの様相は変わるのです。

ジャンドカラーにまとめて《血編み髪のエルフ》と《月の大魔術師》を採用した型は、このリストとは全く異なる戦い方をしなければなりません。必要なサイドカードも変わってきます。

先週のトーナメントで両日優勝をおさめ、トップ32に13にを送り込むという、鮮烈なデビューを飾った続唱ティボルト。

今週のモダンの結果にも要注目です。