日本時間の6月21日、マジック：ザ・ギャザリング公式サイトより背景世界記事であるMagic Story『エムラクール、来たる』が公開されました。

守護者であるアヴァシンが消え去ったことにより最後の砦を失った次元イニストラード。ナヒリは高らかに声を上げて彼女を呼びます。かつてコーの崇めた風の女神カムサ……約束された終末、エムラクールを。

あらすじ

アヴァシンを失った今、次元イニストラードの霊的守護は地に堕ちた。セルホフの断崖にて、報復者ナヒリは声を上げる。彼女――最後のエルドラージ・タイタン、エムラクールを呼ぶために。

ガヴォニーの荒野では、かつてアヴァシンが救った子供、ケルセの息子メイリが聖騎士と共に窮地に立っていた。天使からの執拗な襲撃の中、逃げた先の森にある家で菓子とパンをくれた優しい老婆、サディー婦人。しかし食事の途中に彼女は突如変貌した。開く胸、生える腕。異形の存在へと。メイリは以前と同じようにアヴァシンに祈りを捧げた。すると一体の天使がやってきてこう告げる「アヴァシンはいない」「あの御方が来られる」。我はエムラクール！そう叫ぶと天使は急降下しメイリへと剣を振るう。メイリは目を固く閉じ、再びアヴァシンへと祈りを捧げるのだった。

以前ジェイスが訪れたネファリアの沿岸では、エディス達狂気に駆られた信徒が溺墓の寺院を取り囲んでいた。赤紫の発光と共に水面が脈動する。「私をお選びください、エムラクール！」海が弾け、爆発と共にそれが空へと解き放たれる。エムラクールの瞳に魅入られたエディスは更にその近くへと歩みを進めた。

ウルヴェンワルドの森はハルとアレイナが知るものではなくなっていた。木々から生えた腕、叫ぶ茨、足の生えた苔。それでも追跡者である彼女らは果敢に異形へと立ち向かう。「エムラクールとなれ」そう言葉を発したのはかつてコルマン長老＜だったもの＞。一層強くなる彼の声にハルの意識は遠のき始める。エムラクールであれ。エムラクールとなれ。我はエムラクー――気が付くと、アレイナがハルの手首を力強く握りしめていた。愛する彼女を一人にしたくない、その思いがハルを繋ぎ止める。戦闘の末、辛くもその場から逃げ出すことに成功した二人。お互いの名前を呼び、唇を近づける。もう二度と離れない、そう誓い合うように。

イニストラードの空ではギセラとブルーナが混ざり合い、新たな存在へと変化していた。4枚の赤い羽根、8本の腕、無数の腕や足。もはやかつての姿はなく、そこに新たな女神が誕生した。

スレイベンへと向かう街道にはジェイスとタミヨウの姿があった。エムラクールの精神汚染に耐えつつも苦しむジェイス。彼女から心を守る術を教わってはいたが、それはとても難しいことだった。彼らの頭上を舞う異形の天使達。そして遂に姿を見せた真の敵、エムラクール。他の巨人よりも確実に大きな体と力。木も、苔も、茨も、藻すらも、全てがエムラクールへと近付こうとしていた。ジェイスも例外ではない。俺はエムラクール――違う。ジェイスは必死に心を守る。仮に仲間を連れてきたとして、果たしてこの精神汚染から守りぬくことが出来るだろうか。タミヨウはジェイスにあれがエムラクールという名前であることを告げる。信徒が口にする名前。あれ自体が名乗っているのだろうか。ジェイスは思わずエムラクールの瞳を覗き込んでしまう。『君の名は』、そう尋ねると言葉の洪水がこだました。永遠にして無限、絶対の存在、始まりにして全、そして終末。エムラクール。

ジェイスはタミヨウにゼンディカーに戻らねばならないことを告げる。3人のプレインズウォーカー、ゲートウォッチ達をこの地へと呼ぶために。一緒に来るかと尋ねるジェイスに、タミヨウはそれぞれの役割があると答える。ジェイスがプレインズウォークしようとしたまさにその時、彼の耳によく知る仲間の声が聞こえてきたのだった。

関連リンク

『異界月』物語アーカイブ – MTG米公式サイト
『イニストラードを覆う影』物語アーカイブ – MTG米公式サイト
次元概略：イニストラード – MTG米公式サイト

ソース

エムラクール、来たる – MTG米公式サイト